なかなか良いですよ~ その8

「魚河岸ものがたり」森田誠吾著

吾妻商店で扱う鰹節のことからまず語られますが、なんといってもマグロの輪切りに出合うところは絶妙です。

「見上げるばかりのケースの中は五段に仕切られ、ガーゼに巻かれたマグロの輪切りが、光る断面を見る者に向けて並べてある」「最上段の右から、一キロ七千五百円を筆頭に、下段左の千三百円まで、三十通りに値をつけられたマグロが、きちんと間合いをとって標本のように陳列されていた」諸国珍味専門・岩木屋にやってくる素人か食堂経営者か分からないお喋りのおやじ。

このお客に悩まされて、なんとか来てもらいたくない、と店員たちは伝えようとします。

中山の謀将

沖縄旅行者が絶えない小さい沖縄でも、六、七百年前(=二一四)には、南山、中山、北山と呼ぶ一二地域に分かれ対立していました。


そのころは領主のことを「世の主」と呼んでいた。


後に漢語がはいってきて、王、と使い、また按司ともいった。


南部の佐敷の按司尚思紹、尚巴志父子は善政を布き、徳望があった。


長子尚巴志は、ずんぐりした小兵で、佐敷小按司と呼ばれ、智謀の将でした。


三山の抗争を統一、平和な時代をつくったのが尚巴志でした。


尚巴志は在位十八年六十八歳で世を去り、次子の尚忠が後をついだ。

なかなか良いですよ~ その7

「魚河岸ものがたり」森田誠吾著

魚河岸はなかとそとに分かれています。

とくに早朝から賑わいだすなかは専門市場として、しろうとのお客さんは入ることができない。

つまり家庭で使うような小量の小売りはしないのです。

この小説には、初めに登場した青年、吾妻健作の物語を柱として、魚河岸のなかとそとのさまざまな人々が登場する。

普通の客なら立ち入ることのできないなかの様子が、主人公健作の興味と探訪につれて読者の前に現われる。

なかなか良いですよ~ その6

「魚河岸ものがたり」森田誠吾著

東京の築地にある魚河岸はその巨大さで有名です。

しかも週日の早朝から昼ごろまでの雑踏は物凄いものです。

ところで、その市場の休みの日、日曜日の午さがり、軒下を走る猫のほかは人の見えない汚れたまかに、二十代の青年とその母が、ひと目をしのぶようにしてやってきた。

「ひとつの秘密に追われていた」この本の最初の方の一行、しかもその前後を一行ずつあけたこの一行が、この本の鍵となって読者を最後まで離さない。

なかなか良いですよ~ その5

「眉雨」古井由吉著

扇が海に落ちて沖の舟でも陸でもヤンヤの喝采をしています。

舟の内から一人の五十男が浮かれ出て踊り狂う。

余計なことだ。

たちまち男はところ次の矢で射られてしまう。

「俺の家は代々田舎で、因業者で通っていたらしいよ」とある男が述懐する。

何事も笑いとばして、冗談にしてしまおうとするのだ。

お通夜の席でカッポレを踊るような血筋だというのです。

病気で息もたえだえの父が、看病する妹に「お前、近頃めっきり、田舎の、女郎に似てきたな」と言ったといいます。

それを聞いた兄が「なぜ、妹から話を聞いた最初に大笑いしてしまわなかったのか」と思います。

ここにごうは人間の業というよりほかない悲しみがあります。

なかなか良いですよ~ その4

「眉雨」古井由吉著

小さな事務所で働いていたのですが、明細つきの時間給のほかに、残業をすると社長がその場で千円札を渡した。

その千円札が数枚財布のなかにあったのを見て、妻が疑いだす。

近辺に、空き巣が出没しているという噂が立っていたからだ。

それに妻が妊娠したという不安定な気持もその疑いを強めた。

火の入った石油ストーブに額を寄せてじっと坐りこんでいる亭主の表情に、妻が、なにか不吉な連想をしていたらしい。

那須の与一が扇の的を射おとす話から始まる「道なりに」も私は好きだ。

なかなか良いですよ~ その3

「眉雨」古井由吉著

木に架けられた女の姿が浮かび上がってくる。

こうして、さまざまの過去を招き寄せる、なかった過去まで招き寄せると、現在も未来も波立ち動きだし、平穏ではいられなくなる、という寸法だ。

「郡郷の」は泥棒の出てくる小説です。

それも泥棒を外から眺めて考察しているだけのものではないのです。

ある友人が、前に話していたことを思いだすのですが、妻から空き巣をしているのではないかと疑われる亭主の話なのです。

これはおかしな話だが、そら恐ろしくもあります。

なかなか良いですよ~ その2

「眉雨」古井由吉著

血を流しあった、その血をそれぞれに引いた。

此処で会ったが、肌を合わせたが百年目の」。

「一方が他方を追いつめて、叩きのめすかたちになり、没落した側の家財が大道に投げられた、日のあるうちは表を歩けぬ辱かしめを家の女の身に受けた」・・・・・。

敵味方に別れて対峙している往時の戦場の幻覚が生まれます。

なかなか良いですよ~ その1

「眉雨」古井由吉著

表題作「眉雨」を入れて、九つの短篇がおさめられています。

夢と現実が微妙に交流し合う古井由吉の世界が、流麗な文体で顕現されています。

夢や幻想の勝った作品は、散文詩に近くなるのも古井氏独特のものだ。

「眉雨」は、単に男女の睦み合いなのだが、この作品に出会うと、何かそれが別のものに見えてくる。

「しかしお互いにどこの、馬の骨とまでは言わないが、血の流れの者とも、ほんとうのところはまず正体不明に近い」。

「じつは不倶戴天の間なのかもしれない。

おススメの砂湯場

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九州別府の竹瓦温泉は共同浴場になっていて、男女別の砂湯場があり、浴衣を着けずに入ります。

おばさんがなれた手つきで、身体にピタリと合う穴を掘ってくれて、横になると、直にほどよくあったかい砂を身体にかけてくれます。

胸にはかけないのが本式だそうですね。

身体全体がじわりとあたたまって、腰の痛みなどはすぐに取れます^^

その他、指宿温泉は有名ですね。

九十九里浜の白子にも人工の砂湯がありますが、わたしの一番のお気に入りは、やっぱり竹瓦温泉です^^

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