なかなか良いですよ~ その5
「眉雨」古井由吉著
扇が海に落ちて沖の舟でも陸でもヤンヤの喝采をしています。
舟の内から一人の五十男が浮かれ出て踊り狂う。
余計なことだ。
たちまち男はところ次の矢で射られてしまう。
「俺の家は代々田舎で、因業者で通っていたらしいよ」とある男が述懐する。
何事も笑いとばして、冗談にしてしまおうとするのだ。
お通夜の席でカッポレを踊るような血筋だというのです。
病気で息もたえだえの父が、看病する妹に「お前、近頃めっきり、田舎の、女郎に似てきたな」と言ったといいます。
それを聞いた兄が「なぜ、妹から話を聞いた最初に大笑いしてしまわなかったのか」と思います。
ここにごうは人間の業というよりほかない悲しみがあります。